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-株式会社ゼネット技術ブログ-

今何が起こっているのか?「CAHT GPT エフェクト 破壊と創造のすべて」読んでみた

 

システム事業部田丸です。
今、話題に出ない日はない生成AI。会社の本棚に置いてあったのでふと読んでみたところ、色々と考えさせられてしまいました。生成AIの今を切り取った本を読んだ今の自分のリアクションの備忘も兼ね書籍紹介させていただきます。
気になった人は今読んで!


【書籍紹介】

bookplus.nikkei.com

 

発行元:日経BP
発行日:2023/06/26

 

※当ブログ記載時点より3ヶ月前と割と最近ですが、生成AIの進化スピードは速い。この先もっと状況は変わるかもしれませんが、今の状況をとらえるには良いと思います。

 

【こんな本です】
著書より抜粋

 

「生成AIがもたらす変化の最前線を国内外で取材しそこから見えてきたものを詳しく解説した1冊です」

 

CHAT GPTなどの生成AIが今まさに巻き起こしている「エフェクト=変化=創造的破壊」と未来の予見とともに記されています。
良し悪しではなく事実ベースでの記事やインタビューが多数掲載されている本です。
とにかく今こういうことが起こっているというのを把握し、想像を膨らませるのにも良いかなと思います。


【興味深かった点】

冠されている題名に則り、生成AIによるエフェクト(変化)について言及されている箇所やキーワードを重点的にさらってみました。中でも興味深かった点をいくつか挙げます。

 

・生成AIは言語を使う領域への影響力大!

 生成AIは特に言語の領域で成長目覚ましい状況ですが、つまり言語を取り扱う領域すべてにおいて影響力があるとも言えます。すなわちホワイトカラーの職種すべてに影響ありということですね。潜在的な破壊力(創造力)は相当なものがあると感じました。


・教育の評価観点が変わる?
 ChatGPTがかなり精度の高い論文を書いたなどニュースにもなっており、教育(学問)の世界にも波紋を呼んでます。これからの教育における被評価者(学生)への評価観点も生成AIを使う前提で、以下のように変わると予見されています。

 

     論文そのものの評価   <<<  独創的なテーマ設定ができているか?

 

つまり論文記述は作業であり、論文の起点となる観点の独創性や創造性に評価の重きが置かれることになるであろうということですね。独創性を誰がどうやって判断するんだろうという疑問もありますが。。。


・検索ビジネスの衰退

 生成AIの出現により、検索方式が大きく変わりました。検索も便利ではありますが、欲しい情報を得るため第二、第三キーワードに何を持ってくるかなどのいわゆる「検索技術」が必要でした(※)
 ですがCHAT GPTだと口語体で質問しても答えが返ってくる世界になっています。
今、大きなエフェクトになっているのは、検索結果の中に広告を表示することで収益を得るビジネスモデルが覆されかねない状況であるということ。CAHTGPTは回答を生成するため、今までのSEO対策や、ページ内の広告表示などが不要になります。検索を生業とする某ビッグテックも緊急事態を示すコードレッドを社内に宣言しています。
向こう何年も盤石であろうと思っていた巨大企業さえも、新たに出現した技術で揺らいでしまうのはまさに創造的破壊だと思いました。

(※)生成AIへの質問にもより精度を高めたり限定化するためのテクニック(プロンプトエンジニアリング)はあります。こちらについては本書を参照ください。


・大手企業の導入の取り組み

 パナソニックではCIOの会議で生成AIの導入を即決したそうです。AI倫理面を含めた規則の整備やセキュリティも整備も早くからまとめることで社内での迅速な展開に成功しているようです。「使ってみて価値を体験する」ことに重きを置きつつも、規則や規制対応もしっかりと行うという、生成AIの「使いながら育てる」といった特性を見極めた組織的な取り組みはさすがだなと思いました。


【思ったこと】
・「創造性」の価値が変わるかも
 今まで我々が「創造」と定義していた考えや、行為の多くが生成AIの出現により「作業」に成り代わっていきそうな気配を感じました。今後は「創造」が意味するところの純度が上がっていくのではないかと思います。

 

・「再定義」が重要
 変化の波に乗るのも重要かつ不可避です。しかし、迎合するのではなくゆるぎない部分も持つことが新技術や価値観を受容する際には必要だと思いました。周辺環境も見定め取り入れながら、既存の物事の価値や意味を「再定義」することが今重要なフェーズではないかと思います。

 

・今後起こりそうな議論
 完全なる想像ですが、生成AIというもはや新種の生き物の出現に対し、個人単位ではなく社会単位での価値観が問われているのではないかと思いました。全世界的に「社会(人間は)どう思っていないといけないんだっけ?」みたいな議論が、水面下で静かに行われていきそうな気配を感じています。かつてクローン技術が出てきた時に生命倫理としてどうか?みたいな議論があったかと思います。それに類似する情報倫理(大きく言えば人間観みたいなもの)に関わる議論がより盛り上がっていきそうな気がしています。

 

【おわりに】

人類はどうあるべきかみたいな壮大なことまで思いめぐらしてしまいましたが、私自身もこの変化の時代、いろいろなことを再定義する視点をもって日々暮らしてゆこうと思います。妙なコラムみたいになりましたが、本書はまさに今をとらえている内容なので、気になった方はすぐ読んでみてください!色々と想像も膨らみ単純に面白いです!