システム事業部田丸です。世の中のシステム構築においてクラウド利用はもはやスタンダードですね。しかし、システム構成上ほんとに使う意義があるのか、何のために使っているのか疑問を抱くような構成も良く見聞きします。そのあたりを非常にわかりやすく解説してくれている本に出会ったので紹介します。少しでも皆さんの知的好奇心をくすぐることができればと思います!
【書籍紹介】
「クラウドファースト・アーキテクチャ設計ガイド」
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784822237813
著者:鈴木雄介 氏
2016年8月29日 第一版 第一刷 発行
※現時点2023年から7年も前ですが内容は原理原則に沿ったものであり内容的に古くなることは無いのだろうと思います。
【こんな本です】
~「はじめに」から抜粋~
"クラウド技術を前提に「いかにしてシステムを構築するのか」を考えるための本です"
クラウド技術が台頭した背景も踏まえ、システム構築の考え方のポイントがちりばめられています。クラウドも「あくまでも道具である」という前提に立った文体なので、押しつけがましくなく非常に読みやすかったです。
【重要だと思ったポイント】
重要点は色々ありますが、本の作者(著者)というものは概ね先頭と最後に重要なメッセージを残すのでそこから2点抜粋し紹介します。
①クラウドファーストな考えかたとは?(はじめに より)
インフラのサービス化、ミドルウェアのプラットフォーム化、システム構成のコード化 という クラウドサービスの特性を前提にシステム開発を考える事。 土台として「解決すべき課題に適しているのか?」という発想で考える事が重要。
②クラウドファーストにおけるエンジニア(6章 より)
・マインドセットを「システムづくり」から「ITサービス運営」にシフト!
ものを作ること自体が価値ではなく、作ったものによってどれだけの価値を創出するかが肝。技術者個々がITサービス運営を担っているというマインドが必要。
・エンジニアが進むべき2つの道
進むべき道はスペシャリストかゼネラリストの二つに大別されるが、どちらも具備すべき共通スキルがありそれがとても重要。表にすると以下のような感じ。
【思ったこと】
本書を読んで強く思ったことは以下3点です。
①設計とは道具に踊らされないこと
クラウドでもオンプレでも技術はあくまでも技術であり、道具。新しい道具を使いたいがためのシステムづくりではなく、システム(サービス)が価値を創出するのに最適な道具選びと、使い方を考える。つまり「適用領域」を考えるというのが設計の肝なのだと認識しました。あくまでも「ITサービスが最大限価値を発揮するには?」のスタンスをとることが重要だと思います。
②クラウドは「利用」という概念が重要
クラウドはITシステム資産を「所有する」ではなく「利用する」という考え方。クラウドプロバイダ側でない限りはエンジニアも利用者のうちの一人。「作る」というより、うまく利用する、うまく組み合わせるという発想に切り替えると良いかと思いました。
③新しい常識(技術・道具)はすぐやってくる
最早ですが生成AIや自動化など新たなキーワードが出てきています。気づけばスタンダードになっていて変化に取り残されるなんてことがないようにミーハーでもよいので最新のところに目を向けたり触れたり、意識張っていこうと思います。
【さいごに】
本書は紹介した内容以外にも、クラウドとアジャイル開発との親和性や、ウォーターフォールとの対比や開発体制など含め広く、わかりやすく記述されています。ある程度キャリアを踏まれた方やクラウドの特性を知りたい方に特にお薦めします!